200社以上の会計顧問、会計指導をしてきた経験と知識とノウハウをもとに企業の財務・会計から経営改善を図る方法をご紹介したいと思います。
    
今回は「税金の負担を考慮した資金繰り損益分岐点売上高の計算」です。 
前回の動画で借入金の返済までを考慮した資金繰り損益分岐点売上高を計算しましたね。
  
  
計算した結果は12,210万円の売上高が必要であるという事になります。 でも、これでも資金は足りなくなります。
  
  
その理由は、「税金負担」です。
  
  
資金繰り損益分岐点売上高の計算では、「借入金の返済分」も固定的支出とみて分岐点売上高を計算しますが、「借入金の返済分」は損益計算書上 経費にはなりません。「借入金の返済」は「利益」から返済することになります。
  
  
という事は、借入金返済までを考慮した資金繰り損益分岐点売上高を求めた時は必ずと言っていいほど、利益(今回は経常利益)が出るように計算されます。他の言い方で言えば、「利益が出ていないと本来は借入金の返済はできない」という事です。
  
  
よって、利益が出れば、税金を負担しなければらならくなりますので、最終的な資金繰り損益分岐点売上高を求める場合は、税金の負担までを考慮して計算をしなければなりません。
  
  
では、具体的にどうやって計算するのか?
  
  
税金を求めるには多少複雑なプロセスを経なければ計算できません。税金負担まで考慮した資金繰り損益分岐点売上高を求める際の資金繰り固定費を集計する際に 正確な税金を計算するプロセスを経ていたら手間ばかりかかってしまいます。
  
それは、経営者がすべきではありませんね。経営者が資金繰り損益分岐点売上高を求めるのは、自分の経営の舵取りを見直すため、目標値を設定するため、経営の改善を図るため、経営絵の効率を高める為、、、、 etc   管理をするために会計を活用(利用)することです。
  
よって、正確な税金を計算する複雑な過程は重要視しません。(というか 分析上 正確な税金は求める事は出来ないでしょうね)
  
では、どう考えればいいか? 会社の状況によってパターンで説明します。
   
   
【パターン1:ここ数年赤字決算で繰越の赤字(欠損)の貯蓄が十分ある場合】
  
この場合は 基本、税金の負担を考慮しないで資金繰損益分岐点売上高を計算すればいいです
  
  
【パターン2:前期だけちょっと赤字を出してしまった場合】
  
この場合は 税金の負担分も考慮して資金繰損益分岐点売上高を計算しましょう
  
  
【パターン3:前期も前々期も黒字の会社の場合】
  
この場合は 税金の負担分も考慮して資金繰損益分岐点売上高を計算しましょう
   
  


そして、税金の負担分を考慮して資金繰り損益分岐点売上高を計算する方法ですが、とてもシンプルです。
  
資金繰り固定費を計算する際、固定費に借入金返済額を加算しますが、その加算額を借入金返済額の倍額を加算して資金繰り固定費を求めればいいです。
  
そのようにして求めた資金繰り固定費を限界利益率で割れば、税金の負担分を考慮した資金繰り損益分岐点売上高を求める事が出来ます。
  
もう、この計算までくると、「分岐点売上高」ではなくなりますね。表現が正しくないでしょう。
 
ここまで来た場合は、税金の負担までを考慮した必要売上高 もしくは 【必達売上高】 という表現が正しいでしょう。
  
では、皆さんの会社の損益計算書と借入金の年間返済額をもとに、税金の負担までを考慮した必達売上高を計算してみましょう!